僕はウェイトレス？�T

僕の名前は木村夏樹、ひょんなことから「ブルーウィンド」でウェイトレスをやる羽目になってしまった。

アルバイト初日、大変疲れた僕は、事務室にいるクリスさん、雅美さん、恵理香さんに「お先に失礼します。」といって女子更衣室に入って着替えを始めたが、着るときはクリスさんが手伝ってくれたので簡単に着れたが、一人で脱ごうとしたところ背中のボタンがなかなか外れなかった。

ナツキが、でていった後、
「そういえば、ナツキちゃんはリップスティック持ってなかったよね？　高校生なら多少化粧しないとおかしいよね？　友達からもらったオレンジのリップスティックあげようかな？」
とクリスがいうと、
「じゃあ私はローズを」
「私は、ピンクをあげたいですわ。」
雅美と、恵理香もプレゼントにすることにした。
「さてと私たちも帰ろうか。」
「じゃあ、お先に失礼します。」
女子更衣室に入っていくとナツキちゃんが背中のボタンと格闘していた。

クリスさんと恵理香さんが更衣室に入ってきて、背中のボタンをはずすのを手伝ってくれた。
「ありがとうクリスさん。」
お礼を言って振り返ると、そこには下着姿のクリスさんがいた。
僕が真っ赤になっているのを見て、
「同じウェイトレス同士だから、恥ずかしくないでしょう？」
とクリスさんがからかってくる。
「ナツキちゃんブラジャーつけてないの？」
背中からかけられた恵理香さんの言葉に
「僕は男です。」
振り返りながら言うと恵理香さんも下着姿になっているので、思わず真っ赤になってしゃがみこむと
「女の子がブラしてないのはおかしいよ。」
「そうね、ブラしてないのはやっぱりおかしいわよ。」
「じゃあこれから買いに行きましょう。雅美にカンパしてもらいに行ってくる。」
着替え終わったクリスさんはそういって更衣室を出て行った。

「雅美、ナツキちゃんの下着買いに行くからカンパしてくれない？」
「しょうがないわね、無駄ずかいしないでね。」
そういって５千円出してくれた、
「ありがとう、これから恵理香と一緒に買いにいくわ。」
お金をもらって事務室を出て行った。

僕は、クリスさんと恵理香さんにつれられて、イトーヨーカ堂の婦人下着売り場にいた。
「今日は、予算が少ないのでここで我慢してね。」
そうクリスさんは言って近くの店員に声をかけた、
「この子のサイズを測ってほしいのですが、上下ともお願いします。」
真っ赤になってうつむいている僕の服の上からすばやくサイズをはかり
「トップが７８、アンダーが７４、ウエスト６５、ヒップが８３、７５Aのブラにパットを入れるといいわよ。ショーツはMサイズよ。」
恥ずかしがっている僕を見て、
「最初から胸の大きな人はいないのよ、あんたもじきに大きくなるから、恥ずかしがらなくていいのよ。」
店員さんはそういって僕を勇気づけてくれたが、
（僕は、男です！　おおきくなるわけないでしょう！）と心の中で叫んでいた。
「１つはかわいいブラとショーツのセットがいいわね、あと２組普通のブラとショーツのセットと替えのショーツを３枚くらいかな？」
「女の子は、ブラとショーツをセットでそろえるものなのですわよ。」
クリスさんは、特売場に向かいながらそうつぶやき、恵理香さんが僕に説明してくれていた、
「そんなに買わなきゃならないんですか？」
「女の子の持っている最低枚数ですわよ。」
「ナツキ、こんなのでどう？」
クリスさんがブラとショーツのセットを３組目の前に突き出した、僕は真っ赤になってうつむいたのを見て、同意したと判断したらしく、
「後は、替えのショーツを見ましょう、おーっとパッドも必要だったね、あとガードルも２枚くらいいるね。」
そういって、僕をさらに下着売り場の奥にひっぱって行った。
パットと、ガードルをかごに入れ、レジに持っていくと、
「６，７７０円になります。」
レジのおねえさんがそういうと、クリスさんがお金を払い、商品を僕にわたして、
「ほかの従業員に見られるかもしれないから、明日からは、ちゃんとブラをつけて出勤してくるのよ。」
「恵理香、あとで少しカンパしてね、予算オーバーしちゃった。」
クリスさんと恵理香さんは、僕をおいて帰っていってしまった。

下着の入った買い物袋を持って家に帰ると、もう夕食の時間だった。
ダイニングに入り、買い物袋を片隅においていすに座ると、キッチンから料理を持って出てきた母は、目ざとく買い物袋を見つけ、
「何を買ってきたの？」
袋を取り上げるや否や、テーブルの上の料理を片隅に寄せ、買い物袋の中身をテーブルにぶちまけた。
「どうしたの、これ？」
母に事の成り行きを説明すると
「やっぱりあなたはウェイトレスなのね。」
と涙を浮かべながら、笑いだした。
「これは、洋子ちゃんにも教えてあげなければいけないわね。」
「それだけはやめてくれ〜！」
洋子とは、隣の立花家の一人娘で、僕と３歳違いだけど、兄弟のように育てられていた。
ただし、洋子は妹が欲しかったのか、洋子と僕の母によく女装させられたのだったが・・・

ようやくアルバイト初日がおわった。