僕はウェイトレス？■学園編■

文化祭当日朝。
何時も以上に気だるい表情で、朝食を食べる夏樹。これ以上無いほどテンション下がり気味だ。
まあ、一日中見世物にされる身としては仕方の無い話なのだが。
「朝から何辛気臭い顔しているかね･･･」
片づけをしながら母親、夏樹にしてみれば今回の事を含めてになるが、いや全ての元凶が話しかけてくる。
「辛気臭い顔で悪かったよ、まったく･･･何でこうなるのかな。」
残りのパンをコーヒーで流し込み、夏樹は立ち上がりながらぼやく。
「文化祭なんだろ？普通は浮かれるもんだろうに。」
そりゃ自分が対象じゃなかったら、夏樹も浮かれたいところなのだが。
「明日は私も行くから、がんばりなよ。」
「･･･来なくてもいいよ、というか来ないで欲しいんだけど。」
「私が行かないと思うのかい？」
夏樹の希望をばっさりと切り捨てる母親。血も涙もないとは正にこの事だと、涙が出てくる。
「もういいよ、それじゃ行くから。」
食堂を出て登校の準備に、自分の部屋に行く夏樹を、母親は意地の悪い笑みを浮かべて見送る。
「さて･･･これから３日間とても楽しめそうだよ･･･」
まるでこれから起きる事を全て知っているような事を言う夏樹の母親。彼女こそ、この世界の支配者なのかもしれない。

部屋に行き、前日夜に必要な物を詰め込んでおいたカバンを持つと、母親に声を掛け、玄関を出る夏樹。
１１月になり流石に寒くなってきた朝の空気を吸いながら駅へ向かう。
「うう･･･足が冷たいなあ。」
ニーソックスを履いているとはいえ、完全に覆われているわけではないので、まともに風が当たり寒くてしょうがない夏樹。
男の頃はそんな格好の女の子達を見て大変だなと思っていたが、まさか自分が彼女達と同じ格好で歩く羽目になるとは。
そんな感慨に耽りながら駅前に着き、何時も通りスクールバスの停留所に並ぶ夏樹。
「ナツキお早う。」
「ナツキちゃんお早う。」
そんな夏樹に声を掛けてくるのは、クラスメイトであり、同じ美術部員の翔とメグの二人だった。
「二人ともお早う。」
駆け寄って来て夏樹と並ぶ翔とメグに挨拶を返す。
「いよいよ文化祭だね、ナツキの衣装楽しみだな。」
「はは･･楽しみにする程の物じゃないけどね。」
翔の言葉に苦笑いしながら答える夏樹、出来れば余り騒がれたくないというのが本当のところだろう。
「そんな事無いわよナツキちゃん、きっと皆楽しみにしているわよ。」
メグが無邪気に言うが、夏樹にとってはそれが大問題なのだが。
そんな会話をしている間に、停留所には長蛇の列が出来てくるが、夏樹は別段気にも留めてはいなかった。
しかしこの長蛇の列は皆全て夏樹目当てなのを本人は知らなかった。
要するに一緒のバスに乗ろうと、夏樹の登校時間を見計らって女子生徒達が集まってきているのだ。
その学年構成は初期は同学年が多かったが、今は全学年均等になってきている。（まあその理由は後で分かる。）
何故か異常な乗車率のバスに乗り夏樹は翔とメグ、そして追っかけ（？）の生徒と共に学校に向かうのだった。

学校前で降車した夏樹は校門をくぐり、下駄箱に向かいながら、周りから寄せられる視線に閉口していた。
夏樹のメイド喫茶出演（？）と日替わりの衣装交換は既に全校生徒の知るところだ。それは注目が集まるだろう。
本気で逃亡しようかと考えながら（もっとも性格上出来るわけが無かったが）、１−Ａに向かうのだった。
「お早う木村さん。」
教室に入った所でクラス委員長に声を掛けられる夏樹。
周りを見ると、既に女子生徒の大半は登校して来ているようだった。
「それじゃ早速だけど、今日の衣装を選びましょう。」
そう言って委員長はテイッシュボックスを改造した箱を夏樹に差し出す。中には三枚の紙が入れられている。
実はこれ、衣装の順番をくじ引き方式で決める為の物だった。要は意見が分かれ過ぎて順番が決められない故の苦肉の策。
そして選択の権利は当人である夏樹に与えられた、とはいえ三つとも着るのを避けたい当人には嬉しくも無い権利だったが。
周りの女子生徒の期待に満ちた視線に引き気味になりながら、夏樹は箱から紙を取り出す。
とたんに周りに群がる女子生徒達のお陰で身動きが出来なくなる夏樹。周りから押し寄せる柔らかい感触と甘い匂いに真っ赤になる。
「あ、『アリスタイプ』よ。」
「最初からそれとは･･･良いわ。」
「あーん楽しみね。」
こうして一日目の衣装は『アリスタイプ』に決定し、クラスの女子生徒達のテンションは更に上がった。
「じゃあ早速着替えてね木村さん、接客担当の人もね。」
衣装箱（何時の間にか用意されていた）から『アリスタイプ』を取り出し委員長は、夏樹に渡す。
「何なら手伝うけど？」
悪戯っぽい笑みを浮かべて言う委員長。
「結構です！」
顔を真っ赤にした夏樹は衣装を持って、厨房スペースとして作られた教室の半分側に行き、そこに作られた更衣室に入る。
「うふふ･･･可愛いんだから。」
夏樹のそういうリアクションが女子生徒達というか女性全般の心を奪っているのだが、本人はそれに気付かない。
「････さてと。」
カーテンだけで仕切られた更衣室の中で、夏樹はため息を付くと、渡された衣装を柱に付けられたフックに掛ける。
それから上着を脱ぎ、スカートを下ろし、タイを取り外したブラウスを脱ぐと、ニーソックスと下着だけになる。
流石に慣れてきたので、こういう姿になっても恥じらった様子はない（ただし他の女性のこういう姿を見た時は別）。
次に青のフリフリワンピースを頭から被り、裾を整えてからニーソックスを脱ぎ、白のタイツを履く。
最後にこれまたフリフリ（しかもかなり過剰）な白のエプロンを身に着けて、頭に大きなリボン（ピンク）を付ければ完成だ。
だがそのリボンのところで夏樹は止まってしまった、何しろ今まで自分自身で髪にリボンを付けた事の無いのだから無理もないのだが。
ちなみに今の夏樹の髪だが、２学期初期より更に伸びて肩の下に届くまでになっていた。もちろん切らせてもらえなかったからだ。
その為に夏樹の容姿は最初の頃の活動的でボーイッシュな女の子から、儚げで可愛い女の子に変貌してしまっていた。
よって夏樹に対するイメージは男の子の魅力を併せ持つ女の子から、保護欲を刺激する妹みたいな女の子に変わっていったのだ。
これにより夏樹のファン層に年上のお姉さまが加わる事となり、ますます人気が上がる状態になっているのだ。
（先述のスクールバスのシーンで、”全学年均等になってきて”というのは、こういう理由である。）
もちろん夏樹はそんな一連の事など気付くことは無かった、鈍感もここまでくれば見上げたものである。
「木村さん終わった？」
外から委員長が声を掛けてくる、どうやら待ちきれないらしい。いや待ちきれないのは彼女だけではなかったようだ。
夏樹の入っている更衣室を、既に着替え終わった者を含め多くの女子生徒達が取り囲んでいたのだ。
そんな外の様子に夏樹は服への恥ずかしさとリボンの付け方が分からない焦りで気付いていなかった。
「えっと・・もうちょって待って欲しいんだけど。」
「何？何か分からないとこあるの？」
委員長はそう言って、カーテンをめくり顔を突っ込んでくる、それを見て慌てる夏樹。
「ちょ、ちょっと委員長･･･覗かないで！」
思わず身を竦ませてしまう、夏樹にとっては異性に覗かれるようなものだったからだが、委員長にしてみれば、
「同性なんだからそんなに恥ずかしがる事も無いのに。」となってしまう。
まあ夏樹は自分を”男”だと思っているが、委員長からすれば”自分と同じ女の子”だと思っているのだからしょうがない。
「それよりどうしたの･･･着替えは終わっているみたいだけど？」
「あ･･･それはリボンが上手く付けられなくて・・・」
言いにくそうに夏樹が事情を説明するが、その時に覗かれたショックで身を竦ませたままでいたのがとんでもない事態を引き起こす。
先程説明した通り、今の夏樹は保護欲を刺激する妹のイメージが強いのだ、それが身を竦めさせ上目遣いで相手を見ているのだ。
傍から見たら一人ぼっちになって不安に駆られている小さい女の子である。委員長も横からそれを見ていた者も全員暴走（笑）した。
夏樹に突如襲い掛かる群れ。
「わ、わああ、何・・・？！」
瞬く間に更衣室から引きずり出され、抱きつかれ、撫でられ、頬ずりされ、キスされ（えっ？）、暫くもみくちゃにされた。

数十分後、女子生徒達の過激（笑）なスキンシップから開放された夏樹は、委員長にリボンを付けてもらっていた。
「はいこれでＯＫよ･･･やっぱ可愛いわね。」
頭に付けられたピンクのリボンとフリルがふんだんに使われたエプロンと服という夏樹は確かに可愛かった。
「本当･･･まるでお人形さんみたい。」
「ナツキちゃん、フリルがとても似合うのね。」
「このままお持ち帰りしたい。」
・・・何だか物騒な発言も含まれていたようだが、女子生徒達の受けは最高だった。
「これで成功は間違いなし、皆がんばりましょう。」
「「「「「はい！！」」」」」
委員長の言葉に女子生徒全員が肯いて高らかに返事をする。
「あ、それからこれだけは忘れないでね。」
女子生徒全員を見渡して、委員長が真剣な顔で発言する。
「我がクラスのマスコット・木村さんを不埒な奴らから守るのが、私達の務めだという事を！！」
「「「「「もちろんよ！！！」」」」」
正に女子生徒全員の意思が一つになった瞬間だった、ちなみに夏樹というと呆然とそれを見ているしか無かった。
「・・・マスコットて････何なの？ねえ皆！？」

ところで御崎高文化祭は３日間開催されるが、一般公開日は後半２日間（土・日）である。
よって平日に当たる１日目は学校関係者（生徒や教師）のみの公開日となる。
そしてこの日は一般公開日に備えたリハーサル日でもあるのだ。
準備したものが上手く機能するのか、時間配分は、人員の配置は完璧か、チェックが入れられる。
よって本来はそれほど浮かれては居られない日なのだが、今回は違っていた、特に１年生の校舎付近では。
既に生徒達が、公開開始時間前にも関わらず、集まりだしていたのだ。理由は･･･もちろん１−Ａの出し物。
既に廊下に生徒が並び始め、開始時間を今か遅しと待ち構えている。お陰で１−Ａ男子は最初から整理で大忙しだった。
そしていよいよ開演時間、ドアが開かれ最初のお客さん（１年女子）のグループが入ってきた。
「いらっしゃいませ！」
メイド服姿の女子生徒が流れるような動作でお辞儀をして挨拶する。この辺は夏樹の接客指導の賜物と言えよう。
何だかんだと言っても夏樹は責任感が強い、接客指導もきっちりとやっていたのだ。流石は現役ウェイトレスといえる。
そんな声に迎えられて入室した女子のグループは、メイド達の後ろにある席に座っている少女に気が付く。
フリルの多用されたワンピースにエプロン、頭には大きなピンクのリボン、まるでお人形さんみたいな少女が座っているのだ。
「え･･･うそ･･･」
「ね、ねえ、あの子ってまさか？」
女子のグループは顔を見合わせてざわめく。それが誰なのか、彼女達は一目で分かったのだが、余りの可愛さに驚きを隠せない。
「はい、当店のマスコットガール『ナツキちゃん』です。」
「「「きゃー可愛い！！」」」
メイドの女子生徒の言葉に女子のグループは手を取り合い喜ぶと、あっと言う間に夏樹の元に駆け寄る。
たちまちお触り（笑）が始まる。もちろん夏樹は恥ずかしさの余り真っ赤になって俯いていたのは言うまでもない。
「それではお席にご案内します。」
お客達を適度に喜ばすと、１−Ａ女子のメイド達は、席に案内を始める。お客の女子グループは名残惜しそうに離れる。
「ご心配にならなくても、『ナツキちゃん』は店内を廻りますので、その時でも声をお掛け下さい。」
席に座っても落ち着かないお客達に、メイド役の女子生徒はメニューを渡しながら案内をする。
「本当･･･それは楽しみ。」
「うんうん。」
案内に満足しメニューを選び始める客達。メイド達は肯き合うと、次のお客達を迎え入れる為、出入り口へ。
「いらっしゃいませ！」
「きゃー、あれ可愛い！！」
お客が入る度にメイド達の迎える声と、お客達の上げる黄色い歓声（客のほとんどが女子生徒だから）が続いていた。

１−Ａのメイド喫茶に行けば『マスコットガール・ナツキちゃん』の可愛い姿が見れる、この話は瞬く間に全校に広がった。
開始後間も無く店内は多くの生徒、そして何と教師陣まで押し寄せていたのだ。しかも全員女性教師だ。
考えてみれば、スポンサーの一件や演劇部の衣装貸し出しなど、いくら学校上層部が認可しても、教師側が問題にしない訳がない。
だが教師の間から出た「問題あり」の声を押さえ込み、黙認させたのはその女性教師達だった。理由は説明の必要が無いだろう。
「例え教師とはいえ、木村（ナツキ）さんの可愛い姿を是非見たい気持ちは抑えられませんわ。」
この一言に全てが凝縮されていると言えるだろう。恐ろしい事に、夏樹の”妹属性”は上級生どころか女性教師までヒットしたのだ。
もっとも当人である夏樹にとっては、男なのにこんな可愛い格好をさせられ、見世物にされる状況に何の慰めにもならなかったが。
しかしクラスメイトの「クラスの為だから。」という言葉を信じ、ひたすら耐えている。この辺は本当に人が良い。
「お楽しみになっていますか？何かあればおっしゃってくださいね。」
アリスタイプの格好で席の間を歩き回り、声を掛けられれば愛想良く答え、リクエストに応えポーズさえ取っていた。
お陰で客はもちろんメイド役の女子生徒達も引き込まれ、オーダーの遅れも発生したが、夏樹の姿に誰も気にしなかった。
ところで他の男子の客や１−Ａ男子だが、店に入れず窓からその姿を見ていた（何故か女子優先になっていた為）。
それでも何とか見ようと奮戦してるのだ･･･男って悲しい生き物だと作者も思う（笑）。
そんな悲喜こもごもの１−Ａメイド喫茶で指揮を執るクラス委員長の美香を、入り口で対応していた女子の一人が呼び止めた。
「委員長、何か取材したいって来ているんだけど？」
「取材？誰が来ているの？」
委員長が聞くとその女子生徒は出入り口を指差しながら答える。
「何だか新聞部と写真部の人たちみたい。責任者と話したいんだって。」
「分かったわ、しばらくここはお願いね。」
そう言うと委員長は混雑している出入り口を抜け、同じく混雑している廊下に出る。男子が整理に当たっている横で待つ一行。
「どうも１−Ａクラス委員長の牧村美香ですが。」
「わざわざごめんなさいね。新聞部の天音葵です。」
「どうも写真部の加藤睦月です。」
委員長の挨拶に一行の中の二人が進み出て答える。一方は美香と同じ眼鏡美人、もう一方は帽子を斜めに被ったワイルドな美人。
「え！新聞部の天音先輩と写真部の加藤先輩ですか？あの四大文化部の？」
意外な訪問者に委員長は驚く。何しろ文化部関係者いや御崎高生徒で知らぬ者の居ない有名人が、しかも二人も揃っているのだ。
「それほどオーバーなものじゃないけどね私達は･･･今日は両部合同で取材を申し込みに来たのだけど。」
委員長の反応に苦笑しながら新聞部の葵が言う、横では写真部の睦月が肩を竦めて立っている。
「取材？新聞部と写真部合同のですか？」
予想もしなかった話に委員長は戸惑った表情を浮かべる。

それは何故か？その前に御崎高四大文化部について、もう少し詳しく述べておいた方が良いだろう。
この二人に、演劇部の犬川惠子、そして意外かも知れないが美術部の三枝由紀子を加えた４人が事実上部長を務める部こそが、
御崎高四大文化部と呼ばれ、事実上文化部全体を取りまとめる存在なのだ。その力は生徒会にも強い影響力を持つ。
実は御崎高も数年前までは、実績を盾に運動部が部の予算や設備に関して権限を持つという状況だった。
文化部だってけっして実績が無いわけではないのだが、やはりスポーツの華やかさに隠れ、露出度も低かった。
だがそれを変えたのが上の４人の女子部長達、ルックスだけでなく実力も兼ね備えた彼女達は瞬く間に実権を掌握する。
今では生徒会長（これも女子生徒だ）と共に、実績に見合った予算割り当てを行うように変えた実力者達なのだ。

もっともこの二人のツーショットが驚かれるのは有名人というだけでは無い、めったに無い組み合わせだからだ。
というのも、この二人が部長を勤める二つの部は、似たような分野ながら、いや似ているからこそ、ライバル意識が強い。
活字により事象に深く切り込む事を信条とする新聞部と、写真の持つインパクトで勝負する写真部、というスタンスの違いで。
ただいがみ合っているわけでなく、どちらがより良く真実を伝えられるかを、常に競っているだけなのだが。
この辺は一年生の間でも深く知られており、それだけにその二人がこうやって共同で取材に来るなど前代未聞な事なのだ。
「まあ驚くのも無理ないか･･･確かに初めての事だからな。」
帽子をきちんと被りなおしながら睦月が言う。
「今回はお互いの目的が一致したからなの、それでどうかしら牧村さん、取材させてもらえるのかしら？」
眼鏡をくいっと押し上げ葵が再度聞いてくる。新聞部と写真部の組み合わせに、目を白黒させながらも委員長は答える。
「それは構いませんけど。」
断る理由は無かったし委員長は承諾した。それに新聞部と写真部とも全員女子生徒であり問題は無さそうだしと思えた。
「それではどうぞ、中は混んでいますから注意して下さいね。」
そう言って委員長は合同取材班を店内に招き入れる。それを見て最初は何事かとお客達が見たが、彼女達が誰か分かると静かになる。
「？」
客席を廻りおもちゃにされてふらふらだった夏樹は、突然訪れた静寂に気付き顔を出入り口に向ける。
委員長に先導されて入って来る４人の女子生徒。どうやら上級生らしい彼女達は真っ直ぐ夏樹の元にやってくる。
「木村夏樹さんね、私は新聞部長の天音葵、こちらが写真部長の加藤睦月、今日は貴方の取材をさせてもらいに来たの。」
微笑みながら葵が話しかけてくる。もちろん夏樹は困惑げな顔で委員長を見る。
「いい宣伝になるしね、少しだけお願い木村さん。」
こう言われれば人の良い夏樹に断れる筈も無く、急遽公開取材の場が設けられ、衆目の中行われた。
段取りは葵が仕切り、各種質問や撮影を挟み、お客さんからの質問を受けるなど大いに盛り上がった。
お陰でこの公開取材、残り二日間も行われる事になり、１−Ａメイド喫茶の注目イベントとなったのだった。